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7つ道具を見せてくださいますか
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このカンナなんて、自分で作ったカンナですから。
大工道具は、一生もんやもんなぁ。
盗もうとする人がいるから怖いですね。
現場に勝手に入って、持ってく輩がいるんですよ。
そういう人盗むの、電動工具ですよね。
根こそぎやる奴おるらしいで、電動工具より、こんなの取られたほうがショックやからな。
使うことないもんな、こんな大きなノミなんて
和室あったら使うけど、和室の真壁やるときやね。
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2×4の家の和室でしょうか
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この部屋が和室です。これが天井板。ここは大壁。和室好きやから。ここ3部屋和室ですわ。
いっそのこと全部真壁にしてくれたらよかったのに(笑)
真壁にしらた高こう付くから。
和室は2mの入り口はいらんで、高すぎる。
バランスがとれんやろ。
天井が2336では、せめて1900ぐらいでええ。昔は1800やったもんなぁ。
ちょっとくぐって、入るのが礼儀というか。
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大工になったのは何歳の時ですか
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15歳の時、大工の道を志しました。
いま61です。
福山さんのとこ行ったの、21か22の時やったから。
福山さん、ツーバイフォーやるゆうて、面接いったんですわ。
最初、こんなの大工の仕事やと思わんかった。
知った人おらんかったから。
5時になったら仕事終えて、会社行ってビデオ見に行って。
ボランティアですわ最初は。
そんなんでお金もらえんし。
毎日やで、ビデオ見て。
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1971年のことです。
だからなんも解らなかったですから、ツーバイフォーなんて。
だから、今までの観念を全部すててくれぇ言われました。
習てきたこと、ツーバイフォーやるんやたっら、ゼロにしてから、またイチから覚えてくれ。
どうしても釘ゆうのは、まっすぐ打ちますやんか。
ツーバイフォーは、千鳥でいきますからね。
こっちいったら、次はこっちという感じで、そのスパンが大事なんや、間隔が、釘のピッチが。
ツーバイフォーに対して。
10本打って、同じとこ10本打ってもだめなんや。
同じ間隔でこう、やっていかなあかんから。
それを覚えるのが大変でしたわ。
全てピッチがあるからね。
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今でこそどこのメーカーも、ツーバイフォーやってるから、あれやけど、マニュアル通り施工するか、せんかですわ。
そうですよ。今でもね。
もう仕上げ貼ってもうたら、わからんじゃないですか。
このビスのピッチでも、100ピッチときまってるしね。
ジョイント、外周部に対して。
最初は抵抗ありましたよ。
もういやでいやでたまらんかった。
解らんから、しょっちゅう、壁組んでも壊してばかりやったからね。
解らんから。
知った人がこう、
手取り足取り教えてもろたのとちゃうから。
現場で、今やったらその、教えてくれる人おりますやん。
どこ行っても。
昔そんなのなかったから。
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夜ビデオ見て、福山さんの7階で。
それを毎日ですよ。
5時から。
仕事終わって毎日。
京都大学の先生がいはったからね。
伊藤先生ゆう。
3年間研究して、1軒目やってるから。
構造材を20軒分買うとったんですよ、福山さんが。
材料選ぶから、悪いのはねていきますやん。
とてもじゃないけど、15軒も建たないんとちゃうかなと。
当時八重木材。
八重木材に材料置かしておいてもらったんや。
ツーバイフォーの歴史の本を書いた人がいて、
そこに福山住宅の名前がちゃんとでてくる。
外部の合板なんてなかったんですよ。
シージングボードやった。
筋交い入れて。
その次のできた合板が3×6合板や。
それをついで貼ってたんや。
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全国初のツーバイフォー住宅を施工したのが三浦さんとお聴きしましたが
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そうやりましたよ。
それで賞を貰っている。
福山さんは、
自分たちの意見を取り入れてくれましたからね。
それでできたのが、今のツーバイフォーですから。
三井ホームさんみたいに、東京で決めたことが、全国にばぁっと流れるわけじゃない。
完全に福山さんのマニュアルができたからね。
土台のプレカットも速かったし。
そやから、今こそ三井さんが売れてるけど、
そりゃあ福山さんの方がずっと上いってる。
だからこういう綺麗な家ができたんです。
向こうは資金力あるしね。
全国ネットやから、テレビで予算たくさん使こうてね。
ええ宣伝して。
外観はすばらしいですわ。
デザインはね。
でも中は大したことないですわ。
いやいやほんまや。
デザイン重視やもんね。
三井さん外観を。
そこを見せてもたっらけど
大したことなかった。
大工さんの技術が悪すぎるわ。
ずっと福山さんの方がええわ。
自分も三井ホームもやったし、イワタニハウスもやったし、三菱地所もやりました。
全部ツーバイフォーやから、まえユニチカもやってたやん。


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高気密高断熱と言われるようになりました。
福山住宅も気密性を測定して、建物の気密録ったりしだしだしたんですけど、福山住宅の気密性すごいいいんですよ。
普通C値1.0とか出そうと思ったら、気密テープを使ったりして出すんですよね。
福山住宅の家は、気密テープなしでも、出ちゃうんです。
それなんでかというと、
やっぱり丁寧に作ってくれてはるから。
そもそも隙間がない。
三浦さん造った家なんか、C値計ったら0.54とか、とんでもない数字がでるんです。
下手くそな大工さん造ったら、C値1.0出ないっていいます。
不思議ですよね〜
不思議だなぁ〜
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断熱材についてはどうですか
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この断熱材は、ええわね。
ロックウールやったら、どうしても切らなあかんやないですか。
その分がどうしても綺麗に入らんから。
全然違う。
隙間がでると致命傷。
無理やわ。
そりゃ一枚ではいるところは、綺麗にはいりますけど。
カットせなあかんじゃないですか。
カットしたら、どうしても綺麗に入りませんじゃないですか。
電気ボックスの裏なんかあかんし。
吹きつけすることで、全部綺麗に埋まるもん。
電気ボックスの裏でも全部。
そら年間通しての断熱効果は、ころっと変るでしょう。
だって真夏に作業できるんですよ。
小屋裏、この吹き付けで。
暑いけれど、ロックウールから比べたら、雲泥の差がある。
そらぁ変りますよ。
吹き付け断熱は高いですけどね。
でも、
長い目で見たら、
お客さんの光熱費からしたら、
だいぶかわりますわ。
福山さん速かったもんね。
震災以降、98年からですから、もう15年になります。
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最初1棟やるのに、断熱工事だけで120万ぐらいかかったんです。
東邦レオさん。
普通ロックウールやったら、職人さんの手間代入れても、7〜8万円ぐらいで済むところ、30坪程度の家やったら、5〜6万でしょ。
職人さん、1日で入れてしまいますよね。
今でこそ10倍ぐらいですが、最初は20倍ぐらいかかりましたから。
坪単価で、断熱材だけで5〜6万上がってましたから(笑)
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冬もこの断熱なら暖かいですよ
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だって真夏にあの上に上がれるって、すごいでしょ。
屋根裏にしても、ロフトにしても。
ロフトなんて、直接の熱が下りてくるからね。
昔の小屋裏作業なんかやったら、朝早よう行ってやるとか、暑すぎるから、できないもんそないせな。
無理やったもん。
ガスのストーブよく効きますよ。
お客さん、1年間住んでもらったらすぐ判りますよ。
ツーバイフォー。
ツーバイフォーいうたかて、どこのメーカーも変らんからね。
そりゃいい大工に当たるか当たらんかで、作業が全然変ってくるし。
だから、いい大工さんどんだけ集めているかですよね。
メーカーさんは。
そらぁ、「危ないツーバイフォー」ゆう本で書かれたのは、三井ホームですよ。
モンブランゆう方の家ですわ。
バブルの時いいかげんな仕事したもんだから、お客さんに写真撮られた。
ツーバイフォーの悪口本を出された。
JISの合格も出てない家造ったのも、三井ホームやろ。
そうですよ。
問題になったんや。
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僕の師匠はね 手直しを一切出すなゆう師匠やったんや

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ビスも32mm使こうてる。
普通28mmやけど、4mm長い。
28mmは効かんて。
樹脂が弱いから、
ツーバイフォーの場合、何回も空廻りすることあるん。
空廻りするゆうことは、締まってないゆう証拠やからね。
福山さんに、32mmに決めたらって言うたんや。
家のとこは32mm使ってください、ゆうことで済む話やん。
そうやで。
28mmで国土交通省で通るようになったけど、あんまり効かんじゃないですか。
ボード12mmに対して、28mmやで。
16mmしか入らんやで。
天井はかまへんね。
水平力関係ないから。
壁に対しては、耐力壁やから、耐力入れてるからね、計算上。
しれてますやんか金額なんて、ビスなんて。
ちょっと上がるだけやから。
大阪市内のツーバイフォーやったら、JISマークのビス使わなあかんやで。
45分耐火になった場合。
4.2やでビスの太さが、それの32mm。
ものすごくしんどいで。
それは。
それはホンマに、JISマークでないとあかんのや。
市内なんか簡易耐火せなあかん。
3階建てなんか特に。

他社と比較する商品造らなあかん。
みんな同じ商品つくっとったら。
福山さんのマグサは全て集成材や。
土台はヒバや。
これ絶対誇れるもん。
下は全部ボードにボンド塗ってるんですよ。
専務がゆうてからずっと。
樹脂ボンド塗って。
壁の下地に、ボンド塗りなさいという基準は無いんですが、下地にボンド塗るだけで、全然違う。
締りが違う、ウレタンボンドやから、最初気密をあげるために、始めたんです。
結果的にガチッって仕上がるんです。
あれは発見ですよね。
強さも変わりますよ、ボンド塗ったら。
だって飛行機の機体も、ほとんどボンドでしょ。
いかにボンドが優れているかや。
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楽しいと感じるときはありますか?
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そんな思ったことないけどなぁ。
仕事やんと思ってやってますやん。
お客さんに、
喜んでもらっているかなぁって聞きたい。
喜んではいってもらってるかなぁって聞きたい。
終わったらその現場のことは、すぐ忘れますから。
もう次のこと考えるから。
ほやから、間取り覚えてるもんじゃない。
この家の現場始まったら、ころっと忘れてるよ。
そらせな、次のことに打ち込まなあかんから。
そうですよ。
そりゃ、行ったら思い出しますよ。
あぁここはこういった間取りやったんやなぁ。
めったに行くことないもんねぇ、終わった家に対して。
呼ばれたらダメなんです。
お客さんに。
なんかあるから呼ばれるんやから。
ダメなんですそれは。

僕の師匠はね、手直しを一切出すなゆう師匠やったんや。
教えてもろた。
「手直しを出すような仕事すんな」って、教えてもろた人ですよ。
もうなくなられましたけどね。
だから昔言われたのは、金儲けしよう思たら、職人の名を捨てって言われた。
ばば〜っとやってね。
汚くやって。
ちょっと言われて、直した方が得なんですよ。
30日かかるとこ、たとえ20日でやったら、10日浮くじゃないですか。
その方がお金儲かる。
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昔、建具屋さんのいい職人の方がおられてね。
そう言われた。
その人ほんまに、ええ仕事してたで。
だから性格やね。
あかんから直そか〜ゆうて振り返る人と、行け行けで行く人。
どっちかやと思うんです。

気になるからと思もて、カンナかけたらあかんのです。
透いたから、ボンドコルク詰めようかじゃ、あかんのです。
ほんまわね。
最初からボンド使こてたら、ボンドコルクいらへんのやから。
いまどんだけボンドコルクの種類あるか。
すごいで、種類は。
確かに大工さんの商品は、化粧品やから大変は大変なんです。
昔みたいに、現場でペンキ塗るわけじゃないから。
ほとんどビスじめでっしゃろ。
ボンドも効かない。
化粧やから。
全部押さえなあかん。
釘は打てないし。

だから仕事の量からいったら、今の方がずっと多い。
昔から比べたら。
そらぁ釘打たれへんもん。
入り口の枠にしても何にしても。
行って現場で塗ってたんやから。
今は全部塗装品やん。
道具の種類もいっぱいいるし。
新建材を使うことによって、コストダウンになっとられへん。
そらペンキ屋さんがコストダウンになってるだけ。
その分がなくなったから。
大工さん全て大変やで。
その化粧の無垢のフロア貼るにしても、何にしても。
ほんま言うたら、
もっと単価上げてほしいわ。
極端な話ね。
ほんまに。
そりゃそうやね。
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昔やったら、乗用車で行けたんですよ。
ぼくら弟子のころは。
道具はそんだけしかいらなんだ。
今どんだけ種類がいる。
ガンの種類だけでも、すごい数やで、100万で揃わんで。
構造の釘打つガンでも、
50打つガン、
60打つガン、
90のガンやろ、
ほんで金物のやろ、
それだけで4つや。
造作入ったら、
フロアガンに、
ピンメールに、
フニッシュに、
バタ釘のガンに、
ビス打ちガンに。
自分たち弟子のころに比べたら、ゆとりがないね、工期で、
お金の回収も早せなあかんし。
まず自分たち弟子のころ、
残業すること無かった。
電気着けてね。
いま電気つけな無理やもん。
下手な天井板より、
印刷の天井板の方がずっと綺麗や。
すごい技術やな思うわ。
このヒート貼にしてもなんにしても、すごい技術ですやんか。
ほんまの無垢に見えるンやもん。
表面つるつるちゃうで。

これでもな、手袋せな油が浮いてくるんや。
永年たったら出てくる。
だから自分は手袋して切ってたんや。
これをして。
それを気いつかうか使わんかや。
永年たったら出てくるんですわ。
油が。
弟子のころ知らんから、いっぱいでてるやろなぁ。
手袋して貼ったことないもん。
床といっしょやからね。
天井板なんか。
すごいよ。
なんかしてよう考えたもんね。
本差ね加工やもんね。
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パネル工場と打ち合わせしてますか
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しとるけど、
もう一回ガンかけないと無理やな。
悪い。
精度が悪い。
あと基礎のレベルが、
だんだん悪くなってきてる。
ましてやね、入り口なんか、バリヤフリーやから、直らんのよ。
建具を全部吊材にしてくれたらいいけど。
和室なんか吊戸じゃないんじゃないですか。
全部レベル見るんやで入り口は。
レーザーで。
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ほんで、右左ちょっと違って切って直すやん。
特に吊戸やったら、なおりますやん。
上を真っ直ぐにしとったらええんやから。
だから、ほとんど吊戸にしてくれんかゆうのが、そこにあるんですわ。
2階なんか特にレベルでぇへんからね。
いいかげん見切りじゃやにしてくれ。
材料が、すごいもん。
2×10の誤差が。
いつんなったらやってくれるかなぁ思もて、いうてんねんやけど。
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中国がじゃんじゃん家建ってるから、木材が足りんようになってる。
木材のクオリティが下がってきている。
昔は、ニホン様だった。
選んで選んで一番ええのが、日本に来ていた。
いま来ないんですよ。
中国に先にいいのが行くみたい。
ほんまいい材料ないもんね。
昔はなぁ、ツーバーフォーの材料、買うてくれ、買うてくれ、言うたもんや。
カナダの産業ってないやないですか。
シャケなんて知れたるしなぁ。
そうでしょ。
シャケとって送ったって。
50年ぐらいで切るからね。
管理してるからね きっちり。
こんなでかい木やからね。
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プロフェッショナルとは何ですか
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お客さんの苦情のない家を引き渡すことやな。
一個所でも悪かったらだめなんです。
ひとつが悪かったら。
たとえひとつここが曲がったとします。
他が全部良くっても。
このひとつだけが目立つんですわ。
それをお客さん言いはるからね。
必ず。
アメリカ人とかあぁいう人やったらね。
戸が閉まればいいんですわ。
曲がろうが、どないしようが、でも日本人は違うでしょ。
対角がくるうとったら、絶対言いはるんや。
曲がってるゆうて。
そんだけ、日本人にお客さん、細かいんですわ。
だからいかに、苦情のない家を引き渡すか。
僕はそれに尽きると思いますよ。


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三浦さんの学校つくらなあかんなぁ
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そういう余裕がないもん。
育てる余裕が。
工期的にしても。
なんにしても。
結局弟子持ったら、その子に教えなあかん。
だから、仕事ができへんのや。
親方は。

だから考えたら、俺の師匠も大変やったろうな、と思いますわ。
俺が入った当時ね。
全然訳のわからんやつが、おるんやから。
弟子を育てたら、分りますわ。
親方の有難さが。
師匠の有難さが。
自分の子供を育てたら、親の有難さがわかるのといっしょですわ。
大変なんや。

それでも、4人育ててきてるからな、弟子は。

家たてるんやったら、お客さんとのコミュニケーションが大事やで。
お客さん来たら雑談する。
そうなせな、コミュニケーション取られへん。
完成してね、引き渡すまでは、お客さんの家じゃないですわ。
これあくまで、福山さんの物件なんです。
あくまで。
よう言うのは、お客さんにね
「保証書と玄関の鍵もろて、
初めてお客さんの家に替わるんですよ」
って僕は説明するんです。
「今、お客さんの家であって、お客さんの家と違う」と言う。
そうでしょ現実は。
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